
海底の支配者
咲は先ほどの槍槓がプレッシャーになっている。
加治木ゆみの狙い通り、槍槓の幻想を植え付けられた。
結果的にはかじゅの国士無双を阻止!

咲
(私だってちゃんと捨牌ぐらい見ているんだから)
何かそれ自分が普段は捨牌も見ないで
嶺上ばかり狙っていると自覚しているような言い方だな。

衣
「無聊を託つ
清澄の大将は厄介だと聞いてうきうきしてたけど
乏しいな 闕望したよ
そろそろ御戸開きといこうか」
物理的に風を引き起こす!!


ついに泣き出すほどに恐怖する咲
ビビリレベルもクライマックス寸前です。

池田
「今年も勝てる気でいるのか?」
喧嘩売る池田
それは逆にお前に聞きたい。

衣
「去年の衣と戦ったのか?忘れてくれ。
去年は本調子ではなかった」
「あの時はまだ……
お前たちと同じヒトの土俵に立っていたよ」
池田
「ヒトじゃなきゃなんなんだ」
衣
「その身で確かめよ」
とりあえず舌戦では池田の完敗。
池田は去年の衣でさえ十分脅威で、
その強さに照準を合わせて今まで努力してきたのに、
それを本調子ではないと言われた衝撃はどれほどのものか……
ようやく手が届きそうなところにあるものが、
更なる暗闇へと遠ざかって行ったような感覚……
拠り所を失った人間は非常に脆い。
この時点で既に池田は衣に飲まれている……!
そして衣は池田のことなんかすっかり忘れていました。
雑魚の顔などいちいち覚えてはいない。
所詮はこれは県予選。衣にとっては通過点に過ぎないのだ……
一向聴から手が進まない……
このツモどうかしている!

この時点で、四方の卓は現実世界から切り取られ、
衣の世界へと沈む……

衣と戦うまで一は月のタトゥーシールをつけていたが、
鏡を見るたび怖いのを思い出すから星のタトゥーに替えた。
何故衣を大将にしたか……
夏至が近いとは大将戦なら後半は夜、しかも満月!
天江衣の能力は、夜に、そして満月に近いほど威力が高まる……!

海の底に引きずり込まれるかのような……

ラスト一巡でツモ切りリーチ

ファイナルドローで和了ると役が付く
その役の名前の意味は――


海に映る月を撈(すく)い取る……

海底撈月(ハイテイラオユエ)
これが天江衣――
あのテロップは沢村智紀が言ってたのね。
和は背中から翼を生やしましたが、
衣は背中からこの世にあらざるモノの腕を生やします。
この世のものではないので、海の映る月だろうと掬い取る事が出来る。
海に映る月とは、人間の手では触れられない運命そのもの。
衣の第二の腕は
運命を掴み取り、支配する能力を象徴している。
海底とは局の最後のこと。
海底に行われるツモ、つまりファイナルドローで和了った場合に成立する。
残り一巡でツモ切りリーチ……
海底で和了ることを確信していた。
一つも鳴けない、進まない!
このまま進めばまたも海底をツモるのは天江衣。

さすがに対戦経験があるからか、早速天江衣対策に乗り出す池田。
嶺上開花も海底撈月も、一つ目の牌は同時に潰した。
天江衣を海底コースから外す……
でも残念でしたぁ!
そんな簡単に攻略できるわけがありません。

ペーポンペーポン
海底コースに戻った!
一回だけならばただの偶然で片付けられる。
それは能力ではない。
咲の嶺上開花のように、能力であると仮定するには
最低でも二度以上成功させる必要がある。

二度目の海底撈月
二連続海底撈月。
池田がカンしなければ海底は防げた……
咲と衣、両方の対策を取ったことが裏目に出たわけだね。
しかし本質はそんなことではない。
恐らく、池田がどんな行動を取ろうが、
衣が和了るという結末は変わらなかった。
衣は池田の策を読んでいたわけではない。
いつも通り、自分の感覚の導く通りに打っていただけ。
結果を導く能力の前に、計算はあまりにも、無力……!
龍門渕高校がトップに。
これが天江衣の能力
基本的には咲の嶺上開花と同じ。
海底牌の中から確実に有効牌を選び出すことができる。
意図的に牌を操作しなくても、海底撈月を和了ることができる。
少なくとも自分でカンする必要のあった咲よりも
さらに露骨な運命制御。
まさに背中から映えた第二の腕が、勝手に運命を引き寄せてくれるようなもの。
本人はただ腕を組んでいるだけでいい。
よって恐怖で脅しをかける戦法も通じない。元より衣にそんなの通じないだろうが。
真の恐ろしさは海底撈月そのものではなく、その前提条件である、
海底まで誰も和了ることができない
という点。
まさに他の三人に重石をつけて海に沈めているようなもの。
あるいは超重力をかけているような、勿論自分に影響はない。
遊戯王で言うなら
毎ターン手札事故を起こさせる能力というところか。
咲の嶺上開花は自分が和了るための能力だが、
衣はそれに加えて、他人の和了りを尽く封じてしまう。
いわば全体拘束能力。
麻雀の理想は自分は和了りたい、他人には和了って欲しくない。
それを実現するのが天江衣の能力。
自分が勝つことを最大の目的とするならば、これだけ理想的な能力は無いだろう。
そして今やっているのは大会の決勝戦。勝利以外には何の意味も無い戦いである。
しかし麻雀というゲーム全体から見るならば
全員が平等な条件でやる対戦ゲームという概念を壊しかねない
実に危険な能力である。
しかも例によって反則でもイカサマでもない。ルールには何ら抵触しない。
ルールを壊さずして、ゲームを壊す。
運命制御能力とはそういうもの。
そして、衣の能力は海底撈月だけではない。
これはほんの一部に過ぎない。
さりとて第一、第二の能力と数で数えられるものではなく、
複数の特性を内包する一つの能力というところか。

優希
「エニグマティックだじぇ」
エニグマとは謎やなぞなぞ、パズルって意味があるそうな。

嶺上の花が咲き、海底の月が輝くか……

花天月地ね
部長めさらりと洒落たフレーズを言いやがってw
その辺がモテる秘訣か。

魔物と対峙する池田
海底二連続が偶然ではない事を感じ取っていた。
衣の特質は海底だけではない……
その本質とは、場の支配

一
「あの時ボクが戦った相手は、
同じ年の女の子じゃなくて、
逃れられない運命だった」
池田と同じ目に遭わされたと考えればその恐怖の程も理解できそう。

一年前の池田……
海底阻止よりも自分が逆転することが大事……と一年前も思った。

そして天江の倍満に振り込んだ
池田が名門校の威信を地に落とした瞬間である……
大きな分かれ道が
二つとも死に繋がっていた。
海底阻止を選ぼうが、逆転の一手を選ぼうが、結果は同じ。
覚悟決めても勝負することすらできない!死ぬしかない!
どんなゲームも、基本的には選択肢の連続であり、
正しい選択を選んでいくことが勝利へのプロセスとなる。
しかし天江衣の能力は結果を確定させている。
対戦相手はどの選択肢を選ぼうが、最終的には負けるようになっている。
出口の無い迷路、全部×の四択クイズをやらされているようなもの。
だがそれはもはやゲームじゃない!
選択の余地があるからこそゲームはゲームとして成り立つ。
そのためにルールがある。でも天江衣の能力はそのルールをすり抜ける。
反則的な強さという言葉があるが、それはあくまで反則ではない。
だから、咎められることも無いし、それが原因で負けることもない。
反則的な強さは、反則よりも遙かに恐ろしい……

池田
「よーし、ちょーし出てきたー!」
今までと違って鳴けたことで攻めの姿勢に移る池田。
しかし天江衣は余裕綽々。
罠……これは衣の狡猾な罠だ!
藤田
「手の進まない鳴きでその打牌……凡ミスだな」
ただでさえ限り無く無に等しい勝ち目なのに、そこで凡ミス……
でもそれが池田の池田たる由縁……

池田
「ケチついちゃったかな~」

衣
「さいごのおと~ふ」
透華や和なら一生ありえない打ち方。
咲のカンで衣が海底からズレるが……

藤田
「それでこそ天江衣だ」
衣びいきの藤田プロ
またしても海底コース!
最低12000は持っていかれる!
和了れない、ズラせない!
海の底が見えてくる
三人が三人流局寸前まで聴牌できない。
それが三局連続まで起こっている。
手が進まないなんてのは麻雀のゲーム性を考えれば別におかしくない。
運命と意思は一致しない。これが常識。
むしろ今まで、打ち手のテンションと運が一致した流れだった方が異常なぐらいだ。
今異常なのは、それがあまりにも長いこと。
そして、天江衣ただ一人に有利に働いているということ。
絶対的に強固な天江衣の拘束力!!
そんな中、
ついに咲が和了った!!
加治木ゆみはテンパイを捨てて差し込み。

咲
(この人、私の気持ちを読んで
差し込んでくれたんだ!すごい!)
魔物にすごいと認められました。
この読みの鋭さが加治木先輩の凄さか。
咲と加治木の連係プレーが炸裂!
天江衣を親の座から引き摺り下ろす。
麻雀は基本的に自分以外の三人は敵だが、
敵の敵は味方ってことで、互いの利害が一致すれば、手を組むという戦法も可能。
衣に大量に削られるぐらいなら、あえて咲に2000点を与える方が良いと判断した。

衣
(衣は子供より親の方が好きなのに!)
ああ、そういうこだわりがあったんですね。
そして咲の和了りは同時に衣の和了りをも阻止していた。
ここで天江衣の能力に死角があることが判明。
海底まで誰も和了れないというのは、
あくまで天江衣にダメージのある和了りに限定される。
今回のように、咲が加治木先輩から
点数を取るだけの和了りならば、かなり拘束力は緩むらしい。
天江衣を除く他の三人同士の
点の取り合いならば、和了ることは可能!!
三人揃って海底に沈められれば、海上付近にいる衣に手出しすることはできないが、
海底にいる者同士ならばやり取りすることができる。
依然衣の絶対的優位は崩れないが、光明が見えたことは確か。
反則的な能力ではあるが、完全無欠ではない。
さすがに三人全員を完全な運命の支配下に置くことは不可能。
今回の連係プレーのような工夫を凝らせば、まだ付け入る隙はある。

衣
「呉越同舟――
地の利は人の和に如かず?
そんな戮力通用するものか!」

衣
「この有象無象……
生猪口才!!」
目から炎が……
雷属性から炎属性に切り替えました。

鶴賀の部長は加治木ではなく蒲原です
ワハハ
あまりにも意外な事実発覚。
あの風格といい、麻雀の腕前といい、指導力といい、大将というポジションといい、
藤田プロのように事情を知らなきゃ誰もが加治木先輩を部長だと思い込むことでしょう。
加治木
「ならばいっそ戯れてみよう、その運命とやらと――!」
蒲原
「モモがここにいるのも、
うちらがこの決勝まで来られたのも、
ユミちんの作戦と指導があったからだし」
じゃあ君は何をやったんだ蒲原部長よ……
完全に仕事をとられているじゃないか。
創始者=部長ってことで決まったのかな。
ヤツの支配は完全ではない……
テンパイもリーチも出来た!

池田がやられた!!
早速先ほど発覚した衣以外には拘束が弱いという隙を突いて
池田からごっそり巻き上げました。
点数が減ると、少しでも逆転しようと強気の打ち方になる。
しかし、逆にそれはより隙が増えることも意味する。
点数が減れば減るほど、死への速度は増していく。
出来れば衣から奪いたかったが、この状況で隙を見逃せるはずもない。
これは別に池田に同情しているから取りたくないのではなく
池田の点数が減ると、それだけ死亡(トビ)に近づくからだろう。
池田が死ねば、
その瞬間トップの龍門渕の優勝が確定してしまう。
だから咲にとっても加治木にとっても、池田の瀕死状態は決して他人事ではない。
先ほど発覚した弱点を突いて、
咲と池田からひたすら点数を搾り取れば
加治木先輩が衣を逆転することもできるが、
衣にしてみれば、池田が死ねばそれで勝利は確定。
どっちがより近道で、可能性が高いかという話やね。
そして衣の真の恐ろしさは、
そんな僅かな可能性すらも断ち切る!

戦慄するかじゅ!

吐き気を催す咲!!

あまりにも巨大な衣のオーラ!!

そして何も感じない池田!!!
「へ?」
池田ぁぁぁぁ……
お前って奴はぁぁぁぁぁ……wwwww
このシーン、全員の雀力を計るよき指標となるでしょう。
ワンピースの覇気のような
物理的・精神的な圧力を伴ったオーラを出せる衣の雀力は、他とは桁違い。
現時点では比べ物にすらならない。
また、雀力が高ければ高いほど、相手の雀力を見切ることが出来る。
吐き気を催す咲、戦慄のあまり立ち上がった加治木先輩は、
雀力への感受性が強いといえる。
それはそのまま、自らの雀力の高さにも直結する。
少なくとも、衣の雀力を認識できるだけの雀力はあるということ。
そして、何も感じなかった池田は…………………………
咲はジンクスバトルであるという観点に立つと
加治木先輩の最大の武器はずばりあのポーカーフェイス。
ポーカーフェイスは表情を読まれないだけではなく、
勝利フラグを引き寄せる効果もあるのです。
加治木先輩にとっては、どれだけポーカーフェイスを
維持できるかが勝利の鍵だったのです。
だが天江衣は、
そのポーカーフェイスを物理的に吹き飛ばした!
井上純のタコス喰いにも似たフラグ潰しですが、勿論それとは比べるべくも無い……
天江衣が相手をフラグを折るのに、立つ必要はおろか喋る必要も無く、
ただオーラを出すだけで事足りるのです。
咲、衣へのリアクションの軌跡
会場の外からでもオーラ感じ取る→
寒気を感じる→震える→泣く→吐く
最終段階まで行くのはギリギリ踏み止まったようです。

咲
「これ、ちっちゃい頃のお姉ちゃんより酷い……
勝てるわけなよ!!」
もう一人の魔物からお墨付きが出ました。
まぁちっちゃい頃なら、今の宮永照の強さを計ることはできないか……
津波の前に、潮が引くことがあるように……
前の局は、天江衣が引いていただけだった!
和了ることが出来るのは、僅かな時間に限られる……
これで、他の二人から点数を搾り取って衣を逆転する手すら封じられました。
ただこれは、天江衣の支配にも波があるという弱点とも解釈できるが……

衣
「昏鐘鳴(こじみ)の音が聞こえるか?」

衣
「世界が暗れ塞がると共に――
お前達の命脈も尽き果てる……!!」
どこぞのバトル漫画のラスボス並みにかっこいい言い回しだぜ。
こういう喋り方って大好きなんだよな。
海底阻止を目論んでも無駄無駄無駄!!
天江衣の能力は
海底撈月以外にも適用される!!
だから、必殺技ではなくて支配。
必殺技とは一つ、二つと数えられる程度の数しかない。
でも天江衣は違う。手が何であろうと、勝利するという結果は確定している!
状況に応じて自在に運命は変化する、ただし結果だけは変わらない。
そう考えると、さっき加治木先輩が池田から12000を奪ったのも、
より池田を死亡(トビ)に近づける……
衣に有利に働くからそうなったに過ぎないのかもしれない。
僅かな希望が見えたところで、
それを全て叩き潰し、絶望の底まで突き落とす!
それがラスボス様の戦い方よ。
池田
「二連続でハネマンに振り込んだ……
何だこれ、めちゃくちゃじゃないか……!」
読者側は天江衣は運命を制御していると仮定すれば、今までの流れは実に整った流れなのですが、
やられている側からすればめちゃくちゃ以外の何物でもありませんね。

福路
「たまにありえないぐらいひどいことが起きるでしょ?
そのたびに怒ったりヘコんでたらキリが無いと思うの
いつかきっとイイこともあるって信じて
明るく前を向いて――何事もそうやって楽しんでいきたいわ」

池田
「無理!!
無理ですよキャプテン!
さすがにこの状況は楽しめない……!」
キャプテンはいい事言っているんだが、今の池田にはあまりにも酷過ぎる。
「いつかきっと」……じゃあ駄目なんだよ。
この決勝で負けたら風越女子の敗退は決定する。
「いつか」じゃなくて、
この試合中に状況を好転させなければジ・エンド。
それは、池田には果てしなく困難な道となろう……

そして……運命はいつだって、
心が折れかけた者から死へと誘う!
龍門渕高校 143300
清澄高校 116200
鶴賀学園 101900
風越女子 38600
池田悲惨すぎる……!!
普通の麻雀なら一体何回殺されているんだ。

天江衣、独走状態!!
他校が巻き返すのか?
その中に風越は入ってないよね。
全体拘束と和了りの連発。
この怪物を止める術はあるのか……
あきらめたーらおわーりー♪
EDは池田への応援歌と解釈すればいいんでしょうか。

やっぱりの三つ目の龍門渕Verがあった。
透華と一がアップになっているのが嬉しい。
めぐーりあーいはー残酷過ぎてーこわーいー♪
この歌詞の意味も、今となっては明白ですね。
もちろん、池田と衣のことです。
池田は一年前の大将戦で衣とめぐり合ってしまったばっかりにズタボロに負け、
リベンジを計るも今年もまたメタクソにやられてします。
もし池田が大将戦以外に出ていれば、
天江衣とぶつかってさえいなければ、
ここまで無様な結果を残さずに済んだかもしれないのです。
これを残酷と呼ばずして何と呼ぶ!!
キャラ的に美味しいってのは禁句w
天江衣が終始圧倒的な強さを見せ付ける話でした。
ラスボスならこれぐらいやってくれないとね。
原作中でもこの辺が一番盛り上がったな。
やっぱり管理人は敵キャラが好きなので、
こういう強大なラスボスが相手を見下す口調で喋りながら、
絶対的な強さを見せ付ける展開は楽しいです。
ただ強いだけってのはいまいちで、
見た目や性格はそんな強く無さそうなラスボスが実は……
という見た目のギャップが重要だったりします。
カイン・ナイトロードとか、先代紅の王とか。
ズタボロにやられた池田だが、他の二人も笑っていられる状況ではない。
この決勝戦はたった一校の生き残りを決めるゲーム!!
いかにそれなりの点数を保っていようが、二位以下なら何の意味も無い!
三校が死んで一校が生き残る!
それ以外の結末はありません!
それにしても展開速いな。もう5巻の半分以上過ぎてしまった。
再来週には6巻突入でしょう。
その6巻は7月25日発売……
このギリギリのスケジュールが正直凄く心配です……
次回、
池田、炎上!!
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