天帝のみぎわなる鳳翔/古野まほろ

天帝シリーズ四作目。
12月にはもう発売していたのか。

以下ネタバレ
続き物なので過去三作のネタバレもあり。

現代でも日本帝国が存続しているパラレルワールドの物語。
本作では今や「艦隊これくしょん」で
旬なネタである日本海軍と軍艦を題材としている。
まぁノベルズでの刊行は2009年なのですが。

軍事小説といった類のものは読んだことがないので
序盤の軍艦の解説なんかは中々面白かったですね。
戦艦はすでに時代遅れであり、艦隊の中心はイージス艦や空母。

タイトルは「鳳翔」だけどヘリ空母「鳳翔」は後半に出て来るだけで、
物語の舞台となるのは航空母艦「駿河」
総工費5000億円、年間の維持費2700億円という、
現代において「正規空母」がいかにとんでもない兵器かがじっくり語られます。
合衆国ではこれを十二隻保有しているのだからまさに桁が違う。

賓客たちの艦内巡りツアーで戦闘司令室に辿り着いたところで
東満州のイージス艦「済遠」が反乱を起こす。
遺体回収に来たはずのヘリの奇襲でイージス艦「金剛」が無力化、
敵のハープーンで駆逐艦は次々に沈められ、駿河には核弾頭が撃ち込まれる。
最重要防護区画以外は放射能で汚染され、艦内の人員は全滅。
2800名を越える犠牲者が出る。
と、戦争小説のような展開を見せますが、
本作は紛れもなく本格探偵小説なのですよね。
殺人事件が軽いことに思えるような極限状況下で謎を解くというのは
山火事の中で殺人が起こった
エラリー・クイーンのシャム双生児の謎を彷彿とさせる。

2800人が死に、外は放射能に汚染された極限状況下で
二人の人間の不可解な死を推理するという異様なシチュエーションで物語は進むが、
その推理によって犯人のみならず核攻撃の真相が明かされることになる。

最新技術の塊である空母「駿河」を中国軍に渡さないために、
空母を自沈させることになり、メインコンピューターのある区画に
放射能防護服を着て決死のミッションに向かうことに。
目次のサブタイトルからすると後半で推理合戦があるのは分かるんだが、
どうやってこの状況でやるんだろうと思ったら、
ミッション中に無線を使ってやるとは。
でも、この防護服を着て無線で会話する、
空母を自沈させると言うこと自体に
更なる仕掛けや真相が隠されていたと言うのには唸らされた。

本作では第二作「天帝のつかわせる御矢」で登場した
華頂宮博利王や居御金之助、
瀬見仁美沙(双子姉妹のおどれモードがある方)も再登場。
期待通り美沙さんは天帝シリーズ恒例の探偵同士の推理合戦では
おどれモードを披露してくれました。
矛先となるのはまたしても金之助。
「このダラがぁっ!」
「本格探偵小説の神様にはよ土下座させてもらわんかい!」

まぁしつこくもまた双子の入れ替わりトリックじゃあ仕方ないね。

事件の真相が明かされた後で新たな殺人が起こり、
ついに由香里さま降臨かーと思ったら、
そこにもトリックと真相が存在していたとは驚きだった。

早くから示唆されていた通り、「主演女優」の上巣由香里登場。
宇奈末兵長はあんなバレバレすぎる偽名で何で気付かないんだ。
まぁ州内隆子の方は気付かなかったけど。
「メシエ星雲人は星人じゃありません」と
登場シーンも「御矢」をなぞるようなネタ。
そういえば金之助は「御矢」の時も左腕を負傷していたな……

信濃少尉がー!
せっかくの軍服美女だったのに。
「御矢」のことを思うとこうなるだろうとは思っていたけど
こんなところまで前作と同じにしなくてもいいじゃないか。

穴井戸栄子さん参戦には唸らされた。
登場人物表に載っているのは途中の休憩の夢物語で
出て来るからだと思っていたけど、あれはミスリードだったのか。
「聴こえるだろう!?ギロチンの鈴の音がさぁ」
今回はハマーンだけでなくファラ・グリフォンか。
まぁそれらしい。

二条警視正強ぇぇぇ。
やはりおっさんが強いと物語は盛り上がるな。
声:小山力也で脳内再生してしまった。
剣道で実戦において強いキャラってのは新鮮でしたしね。

今回もZガンダムやエヴァンゲリオンのネタが多い。
「エヴァだってファンネルを使う御時世だというのに」
「リフレクタービットでボコにする」


シリーズタイトルにもなっている天帝本人が謎の会話シーンで御光臨。
七つの祭具はさしずめ宙界の瞳のようなものか。
本作は七つの祭具のうち新しい祭具は出なかったので
シリーズが七作以上になるのは確定か。
地球側でもヴァチカンが旧き神を倒し、
新たな天帝を据えるマグダラ計画が進んでいるなど
次回以降への伏線を張っている。

次回作は「天帝のあまかける墓姫」だが、文庫本で出るのだろうか。


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