テイルズオブヴェスペリア 虚空の仮面

原作のシナリオ担当が書いたレイヴン過去小説

以下ネタバレ


ダミュロン、シュヴァーン、レイヴンと幾つもの顔を持つ男の物語。
おっさんのレイヴンとしての軽薄な態度は元が貴族の放蕩息子だったからで、
人魔戦争で戦友を全て失い、アレクセイに心臓魔導器を埋め込まれて一命を取り留めるも、
心を閉ざし彼の命令にひたすら従順だけの人間になっていった。

本編では断片的に語られる程度だった人魔戦争、そのあまりにも壮絶な顛末。
これだけの体験をすれば心を閉ざしてしまうのも無理無いなぁ……

ダミュロン達の前に現れた始祖の隷長って何者なんだろう。
描写を見てもよく分からない造型なのでここはイラストが欲しかったところだ。
こんな無名の始祖の隷長でこの強さなのに、
それを倒したエルシフルを人類は一体どうやって殺したんだろ。

序盤でレイヴンがユーリを牢から出して
脱出ルートも教えたのはただの気まぐれだったのかw
思えばその気まぐれが無ければ本編に繋がることは無かったんだよなぁ。

おっさんってコゴール砂漠やテムザ山を再度訪れるのも
ユーリ達に同行した時が初めてだったのか。
砂漠ではやたらはしゃいでいたけどその内心を思うと何とも痛ましい。

本作はシュヴァーンと共にアレクセイの過去についても掘り下げる内容になっており、
本編だと本性を表して以降はひたすら悪辣な印象しかないアレクセイも、
かつては理想に燃え、部下を気遣う人間味を持った人物だったという事が分かる。
しかし対立する評議会議員に大勢の部下を爆殺され、
これまでの自分のやり方はまだ手ぬるいと思い込んだのが変貌の始まりで、
より容赦の無い手段を取るようになり、やがては敵対勢力どころか
罪も無い人間の犠牲を払う事にも躊躇しない人間になってしまった。
実際アレクセイの失望に一部共感してしまうぐらい、
帝国評議会の腐敗の実態も分かるようになっている。
真っ当なやり方ではどうにもできない問題に直面した時、ダミュロンは心を閉ざし、
アレクセイは変革のためにあらゆる罪を背負う道を選んだ。
それだけ彼らの体験は壮絶であり、
そうなる前はこれと言った歪みも無い普通の感性を持つ人間だっただけに、
ユーリ達でさえ体験次第でこうなってしまうのではないかと思わせる。
絶望に沈んだり、間違いを犯そうとしたら
本気で止めてくれる仲間がいるかどうかが分け目で、
シュヴァーンはアレクセイにとってのそんな仲間になれる可能性があったように思えるが、
そう都合良く行かないからこそ人の歴史と言う物は上手くいかないのだろうな。

下巻の前半は騎士団と評議会の対立の描写が中心で、
この辺の設定はかなり細かく造り込まれていることが分かる。

ドン・ホワイトホース強すぎる。
普通にシュヴァーンでさえまるで歯が立たないのか。
原作でもダングレストの住人が話していたが、
ドンを殺せるのはドンだけというのは本当のことだったのだろう。

秘奥義のブラストハートが心臓魔導器の暴走によって
発現する技と言うことも正式に語られました。

虚空の仮面というタイトルは、幾つもの仮面を被っていたつもりだった
おっさんがその仮面も含めて自分であると認め、
元から仮面など存在しなかったことが分かるところから来ているのかもしれない。

「おまえを作ったのはこの私だ。おまえは私のものだ。勝手な真似は許さん」
バクティオン神殿での、アレクセイと“シュヴァーン”の最後のやり取り。
この台詞が本心からシュヴァーンに死んでほしくないと思っているのか、
ユーリ達に寝返る可能性を考慮して釘を刺しているのか、
シュヴァーンを同志だと思っているのかただの道具と思っているのか、
この時点のアレクセイからするとどちらなのかは不明。

レイヴンの心臓魔導器の制御装置はザーフィアスに残っていたのに
何故アレクセイは使わなかったのかという疑問もあるが、
目先のことに囚われて気にも留めなかったのか、まだ情が残っていたからなのかも不明。

本編以前の描写はかなりじっくり語られますが本編に入って以降はかなり駆け足、
ある意味当然ではあるがレイヴンの出番に絞って描かれています。
話はザウデ不落宮に向かう直前で終わり、アレクセイとの決着や
キャナリの恋人がイエガーだったと判明する辺りのイベントはありません。
まぁ後者はあくまでサブイベントだしな。
実際にその時までイエガーがキャナリの恋人だとは知らなかったと言う通り、
ダミュロン時代もイエガーに関する描写はほとんど無い。

本編ではスキットで触れられるのみだった、
エステル救出後に彼女に謝罪するところで、
キャナリと会った時に芽生えかけた「本当の騎士」への憧れが、
長い時を越えてついに形を成すというクライマックスに相応しいシーンになっている。
しかしエステルってパーティーで唯一レイヴンの過去に
関する詳しい事情を知っているキャラなんだな。

原作では表面上の軽薄な態度が中心で
おっさんの過去や信条などはスキットなどで幾らか語られるものの、
小説ではその辺を余すところなく語られており中々濃密な内容だったと思う。
レイヴンのみならず人魔戦争や騎士団と評議会の対立など
ヴェスペリアの世界観についてもより理解の深まる内容になっている。
後にドラマCDや漫画にもなっているがまぁ納得ですね。



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