以下ネタバレ
のっけから満州帝国で戦争がはじまり、
パラレルワールドであるこの世界がいかに不安定で陰鬱なのかが分かる。
主人公まほろは殺人の嫌疑をかけられたため満州に逃げたとあるが、
冤罪じゃなくてガチで殺人に加担していたんだよな。
こういうところが推理小説の主人公としては異色です。
庶民には一生縁の無いであろう超豪華寝台列車を舞台にした連続殺人。
得意のルビや外国語を駆使して列車と旅の豪華さを演出しています。
客席が十二宮の名を冠していて、登場人物の名字もそれにちなんでいる物が多い。
「瀬見仁=ジェミニ」「居御=ウィルゴ」など。
登場人物に皇族が出て来る推理小説を読んだのは初めてだ。
射中校のモデルはシーマ様ですかね。毒ガスばら撒いちゃった辺りとか。
デトローフ・コッセルみたいな副官がいたのだろうか。
長い黒髪に細目、臙脂色の軍服と「~さね」口調とか登場人物の中でも特にキャラが立っていた。
嘘喰いの門倉さんみたく、ブチ切れたら関西弁で
「おどれ態(モード)」になる美沙さんも凄かったな
列車内での殺人では二人までと割と大人しいかなと思っていたら、
爆弾で6人が吹っ飛び、あれよあれよいう間に
最終的には60人以上もの死者が出ることに。
前作同様、殺人事件に関してはちゃんと人間の論理で犯人を当てられるようになっている。
第一の殺人はバラバラ死体で乗客は皆とても単独で死体を解体する時間は無く、
それが大きな謎となっているが、
そう思わせること自体が犯人の企みだったと言うのがメイントリックかな。
白面外道金毛九尾、上巣由香里。
前作では生死不明だったが今作で本格的にシリーズの
ラスボスとしての立ち位置を確立した模様。
彼女が登場して以降加速度的に死者が増えて行く。
いや皆殺しにならなかっただけマシなのかw
後輩口調の悪女ラスボスと言うのは見なかったタイプだ。
惜しむらくはダンガンロンパのあの人と同じく
あまりおおっぴらに名前が出せないことだろうか。
今回の七つの祭具は「知恵の鮭」。
前作がアフロディテの梨だったから、てっきりタイトル通り矢かと思っていたよ。
休憩4に出て来た古文調で話す人たちは月に逃げ延びた天帝とその臣下達ですかね。
主人公のまほろがやたらモテたりこういうところは
実にライトノベル的ですがそこん所は意図しているのかな。
今回は表紙にもなっている柏木についてより掘り下げられ、
何故「冷血(クールブラッド)柏木」と言われるのか分かるようになっている。
まほろがああまで柏木にガチだとは思わんかったよw
これ程までの犠牲を払って犯人が手に入れようとした情報があんなものだったとか、
また救いが無い本作の雰囲気を象徴しているよな。
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