フルメタル・パニック! 感想

小説の方はほとんど読んでなかったのだが、
最終巻が出たのを期に「踊るベリー・メリー・クリスマス」から一気読みした。
最終巻以外は古本屋で買い揃えた。

以下ネタバレ


ASのあるこの世界は、時間災害(タイム・ハザード)によって歪んだ世界。
ウィスパードが全員同じ年齢、同じ時間に生まれたのは、
その日生まれた新生児がTAROS暴走の精神波を浴びたから。

これまでの伏線を回収する世界観設定には感心しました。
そしてこれが、歪んだ世界を修復しようという
敵方(レナード一派)の掲げる動機になっているのも上手いと思う。

この「敵方の掲げる動機」って結構難しくて、
単に欲望や名声なんてチープな動機では、
大勢の人間が命懸けで参加するのに説得力が無いし、何より安っぽい。
かといって一般的に共感できるような動機では、
味方側との和解の可能性が出てきてしまうんだよなぁ。それはちょっと緊張感を削いでしまう。

だから敵方は、大勢の人間を惹き付けるに足り、
なおかつ味方側とは絶対に相容れないような動機を掲げる必要があるのです。

今作のカリーニンやシャナの坂井悠二など、
味方側の重要人物が敵に回るのは中々劇的なイベントなのですが、
これもまた、敵方の動機がしっかりしていないと盛り上がりに水を差すことになる。
偽装の裏切り、洗脳、人質を取られたなんてのは論外。
本心から裏切ったのでなければ裏切りの純度が下がる。

その点「愛」という動機は実に説得力がある。
人間は愛する者のためならば何でもする生き物である事は、
有史以来生み出されてきた物語で散々語られている。それを敵方に当てはめぬ法はない。

トリブラのカインとか薔薇マリのSIXみたいな「絶対悪」も良いですけどね、
主人公側と同じ「普通の人間」達が敵となるのも、また違ったドラマを生み出せて面白い。


クルツ生きてた。

せまるニック・オブ・タイムが刊行された当時、
クルツ死亡は結構なニュースで読んでない私の下にも伝わってくる程だった。
当時はガンダム00のロックオン、マクロスFのミシェル、
ブラスレイターのアルとブラッドと、スナイパーであるメインキャラ達が尽く死亡し、
スナイパーの厄年として散々ネタにしたもので、
クルツもその死者の列に加わったものと思われた。

それが結局生きていたわけで、作中で宗介も言っていたが、色々と台無しな感もあり、
まぁこの作者の作風なら別に意外でも不思議でもないなと思ったり。

「虚無の闇に落ちる」とか、いかにも生存を匂わす曖昧な表現
あの後すぐにソ連軍がやってきて、レナード達も死亡確認も
できないまま撤退したとか、一応生存の可能性は十分に示唆されていた。
とはいえどれだけフラグが立とうと、
結局は作者の胸のうち一つで、断定することは不可能。
ファンの方々は二年間相当やきもきしたのだろうなと思った。


テッサが最後の挨拶でこけたりとか、カリーニンの代わりに宗介が発令所に立ったりとか、
最終巻だからこそ出来るイベントが中々良かった。
まぁ、結構早い段階でクルツ生存が判明したためか、
こりゃ皆生き残って世界存続エンドだなというのは見えましたが。
クルーゾーは後であのビデオちゃんと見たんだろうかw

エリゴール・サビーナ機が分身!
スパロボ参戦を意識しているように思えるのは勘繰りすぎでしょうかw
女性キャラではサビーナが一番好きだったりする。

ファウラーの、薬中に負けたってのはその薬中に家族を殺されたってことなんだろうな。
どれだけ肉体を鍛えて強くなっても、
油断したり、自分がいない間に襲われたらどうしようもない。
コータローまかりとおる!の鮫島パパを思い出した。

ラストバトルは宗介対カリーニン。
これをやりたいがためにカリーニンを敵に回したんじゃないかと思った。

最後アルとのお別れがあるかと思ったら普通に生き残ったw


最終巻は上下巻ですが、二冊合わせてもされ竜9巻には及びません。
でも、分冊すると値段は高くなるけど
カラーイラストや挿絵が増えるメリットがあることに気付いた。

結局リー・ファウラーの顔が拝めなかったな。
これに限った話じゃないが、絵師の方々は何度もツラをみるメインキャラよりも、
より多くの脇キャラを挿絵に採用するようにしてもらいたい。

最終巻までの話のスパロボ参戦も期待してしまうのですが、
「踊る~」以降もアニメ化しないことには難しいですねー。
戦闘アニメでぐりぐり動くレーバテインが見てみたい。
ベリアルは通常では無敵状態で、「妖精の羽」を起動しないと
撃墜不可能なイベント専用敵になると思われます。

作者によればこの話は「彼と彼女の物語」であり、それだけは堅守したらしいが、
そのことはあのエンディングに集約されているよね。

宗介の、少々天然入っているけどストイックで一本気な性格があればこそ、
本来苦手なラブストーリーでも面白く読めたのだろうな。
「踊る」の段階ですっぱりテッサを振ってかなめ一筋にしたのが良かったな。

女性の好みにきっぱり優先順位をつけて、
一番ではない女をすっぱり振ることが出来るのが主人公の理想像だと私は思うな!


完結お疲れ様でしたー。



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コメント


何時も楽しみに読ませてもらっています。

フルメタは、私も読み終えました。
私は、カリーニンが宗助に才能が無いって言い捨てるシーンとテッサが母親がビッチな事を知っていたと宗助に告白させて、兄を動揺させるシーンなんかが印象的でした。
そして何より散々ASメインの話だったのに、最後は、ASを捨てさせて生身の決着をさせる所が凄く良かったと思います。

この人の作品は、色々と好きなんですが、この頃脚本家としての仕事とかが多いので、もう少し小説の方にも力を注いで欲しいと思う今日この頃です。

また見に来ますので、これからも頑張ってください。

Re: タイトルなし

> 何時も楽しみに読ませてもらっています。
> フルメタは、私も読み終えました。
> 私は、カリーニンが宗助に才能が無いって言い捨てるシーンとテッサが母親がビッチな事を知っていたと宗助に告白させて、兄を動揺させるシーンなんかが印象的でした。
> そして何より散々ASメインの話だったのに、最後は、ASを捨てさせて生身の決着をさせる所が凄く良かったと思います。

ベリアルなんて世界最強のASなのに最後は生身宗介のロケット弾でやられたもんな。
最後にかつての師匠と生身の一対一で決着をつける展開は燃える。
というか上巻のマロリー親子の話からほぼ全編見所だった。


> この人の作品は、色々と好きなんですが、この頃脚本家としての仕事とかが多いので、もう少し小説の方にも力を注いで欲しいと思う今日この頃です。

確か何かのアニメで脚本やってた気がしますが、大分昔のことなので思い出せぬ。


> また見に来ますので、これからも頑張ってください。

ども、ありがとうございます。

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